イケメンの顔面踏んづけた結果。
だから傍にいてあげる
キャーッと耳をつんざく女子たちの悲鳴。
いつも通りのこと、だけど
…それがいつもより100倍増しなのは…
絶対気のせいじゃない。
「ま、しょーがねーなー」
隣で能天気に笑うのは奴。
「なんて言っても女つれて登校とか初めてだし」
「…だから嫌だって言ったじゃん!」
ほらほらほら!もうあそこの女子軍団さっそく睨んでるし!超睨んでるしあたしのこと!!!
「まー気にすんなよ」
「気にするよ!!」
あたしはあんたと違って図太い神経の持ち主じゃないんだからね!!
カリカリしているあたしを見て、フッと奴が笑った。
「それでも隣にいたいんだろ?」
「……はぁ?」
…ダメだ。こいつの上から目線はとまらない。エベレストを超す日も間近だ。
「…あんたがあたしの隣にいたいんでしょ!!!」
負けじとそう言ってやると、カッと奴の顔が赤くなった。
…え!?ここで!?
「なに!?なにもしかして照れて、ぅわっ!」
全てを言い終わる前にグッと肩を抱き寄せられる。
周りの悲鳴が一層大きくなって。
「…はなれんなよ、ブス」
奴が、あたしだけに聞こえる声でそう言った。