イケメンの顔面踏んづけた結果。
そしていつの間にか、新藤慧の前にはケイだと気付いた女子の長蛇の列が…。
面倒くさそうな顔をしながらも暴言などは吐かず、一人ひとり丁寧に接している新藤慧。
ふーん、意外と真面目なとこもあるんだね。
それにしても時間がかかりそう。
あたし一人でちょっとその辺見てこようかなー…
なんてフラフラ歩き出したのが、全ての間違いだった。
15分後。
「ここどこ!?」
あたしは迷っていた。
迷子なんて久しぶりだ。
周りには飛び交う色とりどりの鳥たち。
足下には「バードゾーン」書かれた看板…さっきまでは「フルーツゾーン」にいたはずなのにっ!!!
えぇ~どうしよう…
なんて途方に暮れていると
「キミ一人?」
「え?」
振り向くと、見たことない制服を着た男子が立っていた。
「制服ってことは高校生?修学旅行?」
「え、うん…そうですけど」
「俺もなんだよー☆
実は班の奴とはぐれちゃってさ…」
言いながら困ったように頭をかく男子。
うそっこんな所に仲間が!!
あたしは力強く言った。
「あたしもなんです!!」
「あ、やっぱりそうなんだ?
今日一日自由行動なの?」
「はい!」
「ふーん…」
するとその子はちょっと意味ありげな笑みを浮かべて
「じゃぁさ、今日一日俺ら…一緒に周らない?」
「…え?」
一緒に周る?あたしがこの人と?
「な、何で?」
「何でって…ここで会ったのも何かの縁だしさ☆」
そしてあたしの腕をガシッとつかむ。
「え!?」
「楽しいコト、しよ?♪」
楽しいコト!?
「ちょっはなしてください!」
あたしの本能が言ってる。
コイツ危険だ!!!
「チッ…うぜーな…抵抗すんなよ」
すると突然口調を変えたそいつが、更に強くあたしの腕を引っ張った。
な、何これ誘拐!?拉致!?
「た、助けっ…」
て、と叫ぶ前に、誰かがあたしの腕をつかむ男子の手をパシッとつかんだ。
「…おい奴隷」
そして頭上からは物凄く聞き覚えのある声…
顔をあげると、不機嫌そうに顔を歪めた奴が。
「この俺に探させるとは、いい度胸してんな?」