イケメンの顔面踏んづけた結果。
そして顔を歪めたまま、つかんでいた男子の腕を捻りあげる。
「い、痛っ!」
「つかお前誰だよ。こんなブス誘うなんて悪趣味すぎんぞ」
やっぱ失礼だな!!
「べ、別に俺はただ話しかけただけで…」
よっぽど痛いのか涙目の男子。
「あ゛!?お前コイツに触ってただろーが!」
新藤慧は捻りあげていた腕を乱暴に放すと
「言っとくけどコイツは俺の奴隷なわけ。気安く触ってんじゃねーよ」
く、くそっ!と吐き捨てるようにそう言って、名前も知らぬ男子は走り去って行った。
「…おいコラ奴隷」
そして怒りに満ちた背中が、ゆっくりと振り返る。
「何急にいなくなってんだよ。ホント存在感ねぇな」
悪かったな影薄くて!!
「ごっごめんね!
あんたがファン達との交流に時間かかりそうだから、ちょっと歩いてたら迷っちゃったの!!」
「迷子とかアホか。つか生意気にナンパとかされてんじゃねーよ調子乗んな」
横柄にそう言い放つ新藤慧。
はぁ!?
「別に調子乗ってないし!!」
「あっそ。自意識過剰なブスは救いようがねぇからな。行くぞ」
ズンズン先を歩き始める新藤慧の背中を軽く睨み付ける。
やっぱムカつく…!
…でも、なんだか悔しいけど
……結果、奴に助けてもらったのは事実なわけで。
「……あ、ありがと!!」
あたしは奴の背中に向かって、怒鳴るようにそう言った。