イケメンの顔面踏んづけた結果。
「………」
ピタ、と足を止める新藤慧。
「…は?」
そして振り向いて、間抜けな声を出す。
「っだから…た、助けてくれて…一応ドウモアリガトウ!!」
肝心な部分が片言になってしまったが気にしない。
なんだか急に照れくさくなってきて、あたしは新藤慧から目を逸らし早足で歩いた。
そして相変わらず立ち尽くしたままの新藤慧の横をすり抜けようとした時
「おい」
乱暴に腕をつかまれる。
「…な、何か?」
「…お前さ」
そう言う新藤慧の顔。
なんだか眉間に皺が寄っていて、いつもに増して怖い。
えっなに何か怒ってる!?
人がせっかく頑張ってお礼言ったというのに!!
「…あの…っぅわ!?」
次の瞬間、掴まれた腕を思いきり引っ張られて
なぜか新藤慧の腕の中にいた。
…えーっと
何であたし
新藤慧にハグされてんの!?!?!?
「え、ちょっなに…!!!」
暴れ始めたあたしを、背中に回った新藤慧の腕がグッと押さえつける。
そして耳元で囁かれたのは
「…次ナンパされたらぶっ殺す」
そんな物騒な言葉。