イケメンの顔面踏んづけた結果。
「…つーか何してんだよ、あの婚約者はどうした?」
新藤慧が聞く。
え、婚約してるの!?残念…なんて。
「…今ちょっと席を外してるだけだ。
…彼女は同じ学校の?」
「…まーな」
「ふーん…いいな、お前は自由で」
ふ、と笑顔を作るお兄さん。
でも何だかあたしには…とても冷たく感じられた。
「じゃ、楽しんで」
最後にニッコリ社交辞令みたいな笑顔を浮かべると、お兄さんはどこかに足早に去って行った。
…なんだろう。
なんか新藤慧の家族ってみんな…どことなく、相手と溝があるような。
そんな感じがする。
…家族ってあんなに冷たい笑顔を相手に向けるものなの?
「…新藤慧?」
珍しく何かを考えるように黙り込んでいる新藤慧。
「…あー、なんでもね」