イケメンの顔面踏んづけた結果。




「……慧様」



「うわっ!?」




突如背後から聞こえた声に、俺は思わず飛び退いた。




「なっなな何だよお前!勝手に入ってきてんじゃねーよ!!!」



「…申し訳ございません。
何度かベルを鳴らさせて頂いたのですが、何の応答もなかったもので…」



両手に大きな袋を持ったまま、深々と頭を下げる菊池。




っていうか全然気づかなかった。



どんだけトリップしてんだよ俺…




「色々揃えてきたのですが、奴隷様の症状は…?」



「あー…病院行ったらただの風邪って言われたらしいけど、熱がたけぇ」



「熱ですか…」




菊池は袋をゴソゴソ漁ると、【ヒエピタ】と書かれた箱を取り出した。




「何だこれ」


「ヒエピタでございます」



それは見れば分かる。



「粘着シートになっているので、奴隷様の額に貼って差し上げて下さい」


「は?俺が?」


「はい」



真顔で頷く菊池。



「……」



俺は無言でそれを受け取った。





< 90 / 290 >

この作品をシェア

pagetop