イケメンの顔面踏んづけた結果。
「……慧様」
「うわっ!?」
突如背後から聞こえた声に、俺は思わず飛び退いた。
「なっなな何だよお前!勝手に入ってきてんじゃねーよ!!!」
「…申し訳ございません。
何度かベルを鳴らさせて頂いたのですが、何の応答もなかったもので…」
両手に大きな袋を持ったまま、深々と頭を下げる菊池。
っていうか全然気づかなかった。
どんだけトリップしてんだよ俺…
「色々揃えてきたのですが、奴隷様の症状は…?」
「あー…病院行ったらただの風邪って言われたらしいけど、熱がたけぇ」
「熱ですか…」
菊池は袋をゴソゴソ漁ると、【ヒエピタ】と書かれた箱を取り出した。
「何だこれ」
「ヒエピタでございます」
それは見れば分かる。
「粘着シートになっているので、奴隷様の額に貼って差し上げて下さい」
「は?俺が?」
「はい」
真顔で頷く菊池。
「……」
俺は無言でそれを受け取った。