私立桜庭高校自殺コーディネート部
第一章
桜が舞い散る穏やかな季節ー春。
入学シーズンまっただ中のなか、ここにも幸せ絶頂の者がいた。
「おい、あぶねーよ!きちんと前向いて歩けよ?!」
「す、すいません・・・」
「ちょっとー、飛鳥!なにしてんの?はやくしないと、電車乗り遅れるよ?」
「あっごめん!」
新・高校一年の加藤理香子は、はじめての、ハイスクールライフ一日目に、興奮していた。
理香子が通う高校は、地元の名門校・桜庭高校なので、ずっと目指していた高校に
はいれたことは、とてもうれしくて、たまらなかった。
通学中に、少々トラブルがあったのだが・・・。
「理香子、大丈夫?」
「なにがー?」
「だってさ、さっきのおっさん、舌打ちして、にらんでたじゃん。ほんと、感じ悪う。」
「あはは、だいじょーぶだよ、友加里!心配しないで!ほら、ホームルーム始まるから
席つかないと!」
「だね、じゃあ、あた後で」
「うん!」
教室のドアが勢いよくあいた。そして、いかつそうな先生が、はいってきた。
「ホームルーム始める。あ、委員長、挨拶はいらない。いろいろ話すことがあるからな。」
委員長の村上は、はじめての仕事がないことに少々がっかりしていたが、静かにうなずいた。
「えー、1年5組のみなさん、昨日の入学式にも言ったけど、担任の佐々木だ。
よろしく。ま、楽しいスクールライフでないことは、確かだ。ここは、進学校だからな。
けど、部活は豊富だ。放課後には部活動見学も明後日まであるから、ゆっくり決めなさ
い。」