華の欠片
「まさか椿さんがそんなに強いとは思い
ませんでした。僕の完敗です。
....…椿さん、途中で姿が突然見えなくな
ったのですが.....」
沖田は不思議そうな顔を私に向ける。
「....あゝ、別に対した事はしていない。
ただ、体制を低くして、沖田が振り上げ
た腕の下を潜って背後を取った。たった
それだけだ。」
椿は平然とした表情で答えたが、この
技はそう簡単にできるものでは無いだろ
う。
背後まで回る速さが遅ければ、斬られて
しまう。かなりの脚力がない限り実現は
不可能だ。
「.....貴方の実力は身に染みてよく分か
りました。土方さん達の所へ行きましょ
う。結果報告をしなくては。」
「分かった.... あ、竹刀はどうすれば良
いのか?」
「あー。そこに立て掛けとけば大丈夫だ
よ。」
「分かった」
「じゃ、行きましょう。」
「あゝ」
そういい椿と沖田は道場を後にした。
その後に幹部が続いていく。
残された傍観していた隊士達はあまりの
突然の事にあんぐりと口を開けていたと
いう。