華の欠片
日付けが代わった頃だろうか。
ふと部屋の襖が開く。
斎藤が帰って来たんだ....
どうするかな…
寝たふりでもすればもうじき斎藤も私を
監視している人も寝てくれるだろうか…
?
私は襖に背を向けるように寝返りを打っ
た。
しかし、この行動が仇となる。
襖に背を向けるように寝返りった為、痛
い右目が下になってしまった。まだ痛み
が残る右目と頭に激痛が走り痛くてしょ
うがない。
「………ッ」
一瞬寝返りを打った瞬間に出た小さなう
めき声を斎藤は聞き逃さなかった。
寝言だと思ってくれれば良いが、さっき
のものは寝言にしては不自然過ぎる。
「里原」
斎藤に名前を呼ばれた私の肩がピクリ
と動いた。
それでも私は寝たふりをし続ける。
「寝ろ。と言ったはずだが?
何故まだ起きている。まだ完治していな
いのだろ?夜ふかしは体に障る。」
「眠れないだけだ。」
椿は小さな背中を斎藤に向けたまま答え
た。
「何故眠れない。今日は刀を握って疲れ
たろう?夕方にはお前の顔に疲労感が見
受けられたぞ?」
「........それは....」
「じゃあ、こんな時間までコソコソと何
かしてたとでもいうのか?」
その言葉で椿の中の何かがぷつりと切れ
た気がした。
「......っコソコソしてるのはここの人たちだ!天井裏になんか監視を付けて。」
「........監視?」
「そうだ!あんなに見られて眠れるわけ
がない!」
「俺は何も聞いてないぞ....?」
「は...?」