華の欠片
~斎藤~


朝目が覚めると丁度髪を濡らした椿が部

屋へ入ってきた。



「あ、……斎藤か。」


「嗚呼、おはよう。

今日は午後から巡察に行くぞ。

羽織は余りがあるからそれを使え。

あと……ちゃんと眠れたか?」





こんな事聞くのは俺らしくないとは思う

が今目の前に立つ椿の具合の悪そうな

顔をみたら聞かずにはいられなかった。





「分かった。把握しておく。

あ、それは大丈夫。ちゃんと...眠れたか

ら。」



「そうか....もし体調が優れぬのなら早め

に言え。

何かあってからでは遅い」




「分かった。....あ、あと。包帯はどこに

あるのだ?

右目の包帯を巻き直したいのだが。」





あゝそれなら引き出しに使ってない物が

あるはず.....

職種的に怪我が多いものだから常備して

るのが.....



「あった。これを使え」


引き出しから見つけた包帯を椿に渡す

と近くにあった掛け鏡の前に着いた。


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