華の欠片



椿side


目を覚ますと辺りはいつの間にか薄暗く

なっていた。


ふと、自分の右側に気配を感じ目を向け

ると斎藤さんが胡座を掻いて座っていた。


「椿、体調はどうだ?

今は倒れる前よりも血色がいいが、まだ

顔色が良くない。

副長が仰っていたが体調が治るまでは隊

務は休みでいいそうだ。

その代わりゆっくり休んで早く治せ。」




「......すまん。

これでは私はここに身を置くただの居候

に過ぎないのに…


......ほんとに、ごめんなさい。。。」



そう言うと斎藤は少し顔を歪ませて私を

抱えるようにして起こしてくれた。


「そんな事を言うな。

椿はここで必要な人間だ、必要と為れて

るんだ。だから副長も椿をここにおく事

を決意した。


だから、安心して休んどけ。」


そしてそのまま私を抱き寄せて頭を撫で

てくれた。

私はいつの間にか泣いてたらしい。

こぼれ落ちる涙が止まらない。


何故私が涙を流したのかは分からなかっ

たが、斎藤の温もりが身に沁みる程嬉し

かった。




...この湯くもり決して失いたくない。
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