華の欠片
………まぁ、なりかねないな。
「芹沢さーん!こんにちは!
どうかされたんですか?」
「総司と椿か。
ワシにぶつかってきた無礼者を排除しよ
うと思ってな…
邪魔をするならば貴様らも斬る」
ドスの効いた地に這うような声からして
芹沢さんはめっぽう機嫌が悪いらしい。
いつもの鋭い目つきがさらに恐ろしさを
増し、絡まれた男は震えてうずくまって
いた。
「それはいけませんね〜
かの偉大な芹沢さんにぶつかるとは運の
悪い…
ですが、芹沢さんの大切のお時間をこん
なクズに使うのは実に勿体無い…
どうです?これから一杯。
お酌しますよ」
先ほどまで甘味を食べて浮かれていた沖
田とは思えないほどの受け答えに少し驚
いた。
絡まれた男への言いようは酷いが、相手
は芹沢さん。
これは仕方が無いだろう。
「萎えた。
帰るぞ、沖田。
それと椿、お前も付き合え。」
そのまま自分は帰れるとうすら思ってい
たので名前を呼ばれた事に少々戸惑った
が、ここで断れば命はない。
ここは素直に頷く事にした。