華の欠片
「えぇ⁉︎」
状況がよく分って居ないらしい沖田が戸
惑いを見せているがそんなことは関係な
い。
今は斎藤から逃げることが最優先だ。
取り敢えず八木亭をぐるっとする形で裏
まで行ったら屋根に登ろう。
流石に屋根までは追いかけて来ないはず
だ。
そうして、裏までの最短距離を全力で走
った。
…………走ったのだ。
だが最後の角を曲がった時、何かにぶつ
かった。
感触からして決して壁に追突したわけで
はない。
「椿」
よく聞く見知った声に恐る恐る顔を上げ
るとやはり斎藤が無表情でこちらをみて
いるではないか。
………何故ここに斎藤が………?