華の欠片
思いっきりぶつかって尻もちをついた私
に対して、
平然として立って私を見下ろしている斎
藤からは先程のような恐ろしさは全くな
かった。
「椿」
また斎藤が私の名前を呼んだ。
「何だよ」
「椿」
また呼ばれる。
「だから何だよ」
「椿」
………いい加減キレていいだろうか。
「だから何だっ………」
今度は言い終わる前に私は斎藤の温もり
に包まれた。
「椿………心配した。」
「ごめん……」
「時間になっても来ないからずっと探してた。」
「ごめん……」
「今日の巡察は藤堂の班に変わってもら
った。」
「………申し訳ない…」