凸凹な関係。
校門を出るところで、家が逆方向だと気付く。
「そういえば、家逆方向じゃん。遠くなるから良いよ」
さすがに申し訳ない・・・
「オレ、チャリだし。後ろ乗れ」
「え?良いよ。重いし。桐悟の彼女にも悪いし」
恥ずかしいし、誰かに見られたくない。
「彼女とか、いないし。さっさと乗れよ」
恐る恐る後ろに乗って、桐悟のYシャツの裾を掴んだ。
「ちゃんと掴まれよ」
「あ、うん。」
思い切って腰に手を回した。
「じゃ、行くぞ」
なんか、ドキドキする。
桐悟、いつもと違って優しいし、不思議な感じがする。
そして、アタシもなんか変。
誰かに見られたらどうしよう・・・
「ねぇ、彼女いないって言ってたけど、好きな人いないの?」
見られて誤解とかされたら、この状況まずくない?
「いるけど、告る気ないし。このままの関係がちょうどいいから」
へー、好きなら告るタイプだと思ってたよ。
「誰なの?」
彼女いると思ってたし、桐悟の好きな人とか思いつかない。
「ひみつ。お前も好きな人言うなら、言うけど?」
いや、好きな人とかいないんだけど・・・
「いないし」
恋とかわかんないし。
「じゃあ、言わない」
ケチ。
「まぁ、いいよ。あ、着いた。ありがとね」
チャリから降り、一応お礼を言う。
「おう。またな」
桐悟に好きな人がいると思うと、なぜか胸が少し胸が痛かった。