片想いのカタチ *短編集*
それから、私は逃げるように颯ちゃんの家をあとにした。
今は、ベットに入って布団にくるまっている。
――ガバッ
「あー、もう私のばか!好きなのは颯ちゃんって言えばよかったじゃん」
そう言って、勢いよく起きあがってベットの上でじたばたした。
「明日どんな顔して颯ちゃんに会えばいいのよー」
今更だけど、すごく後悔した。
明日、颯ちゃんと気まずくならないかなとか、そんなことが頭の中をぐるぐすと渦巻く。
「…ねぇ、颯ちゃん。あなたの好きな人は誰ですか?」
私は、一人そう呟いた。
どうして、あの時聞けなかったのかな…。
「素直になりたいよぉ」
素直になれたら、どんなにいいか。
でも、大切な幼なじみだから気持ちを言ってしまえば、今の関係が崩れるかもしれない。
それだけは、絶対にイヤだから…。