片想いのカタチ *短編集*
連れてこられたのは、屋上だった。
「愛美、ちょっと待って」
そういって、颯ちゃんはあわてて私を止めた。
「なにー?」
「ここから、いいって言うまで目閉じてほしいな。ちやんと、エスコートするから」
そういって、私の手を握った。
「わかった」
そして、私は目をつむった。
「よし、じゃ進むな」
そういって、10歩くらい進んだ。
「もう、目開けていいよ」
「…え、なにこれ?」
目を開けた先に見えたのは、グランドに書かれてある“俺が好きなのは愛美だ”って文字だった。
「愛美」
颯ちゃんは、私の名前を優しく呼んだ。
「颯ちゃん…これを書いたのは颯ちゃん?」
「うん、朝早くきて書いた」
照れくさそうにそう言った。