片想いのカタチ *短編集*
「あ、もう30分だ!そろそろ戻ろうかな」
先生は立ち上がって、扉にむかおうとした。
「あ、待って」
そう言って、私は先生の白衣をぎゅっと掴んだ。
「ん、どうかした?」
私の方へ向き直って、首を傾げた。
「手、出して」
私がそう言うと、先生は私の目の前に手を広げた。
「はい、これ! 疲れてる時にいいかも」
私は、チョコとキャラメルを差し出した。
「ありがとう。後で食べるよ」
そして、ポケットの中にしまった。
「仕事がんばって」
「うん、じゃ行くね」
そして、扉へむかった。
扉のとってを掴んで、こちらを振り返った。