片想いのカタチ *短編集*
「あ、そうだ。後でまた来ようと思うんだけど」
何だか少し照れ隠しするように笑っている。
そんな先生を見るのは初めてできゅんとした。
「え、ほんと?」
私は、冗談なのかと思って聞きかえした。
「ただ何時になるかわかんないから、もう花純ちゃん寝ちゃってるかも」
そう言って、困ったような表情を浮かべていた。
「私、待ってる!寝ないで待つから……絶対来てね? 約束だよ?」
ちょっとテンパってしまって、早口になった。
「わかった、できるだけ早くくるよ」
優しく微笑んで、今度こそ本当に部屋から出ていった。