片想いのカタチ *短編集*
*・*・*・*
あっという間に放課後はやってきた。
――ピンポーン
私は、颯ちゃんの家のインターホンを押した。
「はーい!」
家から出てきたのは、颯ちゃんのお母さんだった。
「颯ちゃんママ、こんにちは」
学校から帰って夕方だけど、こんばんはって言うには、まだ早いのでこんにちはって挨拶した。
「あら~、愛美ちゃん。いらっしゃい」
颯ちゃんママは、ふわふわと優しくて天然な人だ。
「えっと、颯ちゃんと勉強しようってなってて…」
何だかよくわからないけど、上手く言えなかった。
「颯太から聞いてるわ~。さ、あがってあがってー」
玄関にあげてもらいスリッパまでだしてくれた。
「あの、これ! お母さんに持って行ってって頼まれたんです」
私の母は、お菓子作りが趣味で、いつも作りすぎたら颯ちゃん家におすそわけをする。
そして、今日もアップルパイを作りすぎたみたいで、颯ちゃん家に持ってきた。