桜の雨が降るとき
背は165cm位、男子の中では中間的だ。
痩せていて、まだ春なのに少し焼けている。
スポーツか何かやっているのだろうか。


髪の毛は普通に黒く、前に切ってから何ヶ月かたった頃みたいな長さだ。


別に特筆すべき特徴はない。
ごく普通の生徒と言った感じ、なのだが……。



「……翠、あの人知ってる?」



私と同じように彼を目で追っている翠に訊いてみた。
今彼は空いている後ろの方の机に肩から提げていたスポーツバックを無造作に置いている。



「ううん。見たことないや」


「だよね……。あたしも」



私は男子の人脈が広い方ではないが、一応同じ学年の人の顔はわかる。
もちろんまだ話したことのない人もいるのだが。



「去年何組だったのかな……?」


「わかんない。あ、もしかしたら不登校だった人とか?」



確かにそれだったら見たことがないのも不思議でない。
私達の学年には学校に来ない人が沢山いるから。


でも……



「なんか、不登校な人には見えなくない?」


「だよね。普通に普通の人っぽいよね」



あの人から暗くて陰湿な感じはしなかった。

それに、不良で学校ダルいから来ないって感じでもないし。


ってことは。



「……転校生?」
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