桜の雨が降るとき
「……につながるよね」



もちろんそれは最初から視野に入れていた。
多分それが一番現実的な答えだと思う。


ただ、珍しかったのだ。


とくに発達している産業などもない田舎のこの街で、転校していく人はいても転入してくる人などほとんどいなかった。



「どっから来たのかな……」



翠が呟く。



「やっぱ都会の方なんだろうね……ってか、まず何て名前なんだろう?」


「名簿見てみよっか」


「だね」



朝からすぅの名前が無いことに気をとられすぎて、自分たちのクラスの名簿をほとんど確認していなかった。


しかしその時、



「これから学活を始めます」



と竹内先生が教卓に立った。
さっきから、つくづくタイミングが悪い。
そういえば、まだ翠が目標として定めている高校を聞いてない……。



「みんな今自由席だけど、壁際から横に出席番号順になるように移動して」



えー、と、クラスのあちこちから一斉にブーイングが起きる。



「だってこれはどのクラスでも同じなんだから、3組だけ自由席には出来ません。それに、そんな席じゃうるさくてしょうがないでしょ」



竹内先生が押しきり、みんなまだブーイングを言っていたが素直に従い始めた。



「じゃあね、芽衣」



隣の翼も荷物を持って立ち上がった。
日野と朝井だから、絶対近くではないだろう。


しかし、たまたま私が座っていたのは壁際最前列。
つまり1番が座る席だ。
自慢じゃないけど、私はこれまで1番以外になったことがない。
同じく1番のすぅだって、荒川だから私の方が先だ。
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