ＺＥＲＯ 深淵が謡うセレナーデ
今から二時間前・・・・・・・・・・・・・・・
「はい、お茶をどうぞ。冷えた身体も暖かくなると思うよ」
「あの、ありがとうございます」
彼女を客室に招いてから５分、じっと座っていても何の進展もないので僕は台所からお茶を持って来て彼女に出した。お茶を飲んで彼女も落ち着いたようだ。
「で、なんで君は僕の家の前で倒れていたの？」何を話したらいいのか分からず僕はとりあえず何故、倒れていたのかを聞いてみた。
「・・・探していたの」「何を？」
「《天命の鍵》」
またそれか、さっきも言っていたがなんの事なんだろう。
「それって家の鍵かなにかなの？」
そう言うと彼女は黙り込んでしまった。なにか彼女の心の傷に触れてしまったのかもしれない。
「あの何かいけない事言っちゃったかなゴメン」「ううん、別にそういうわけじゃないの、ただ何て説明したらいいのか分からなくて・・・」
そう言うとまた彼女は黙り込んでしまった。おそらく頭の中で考えているのだろう。
「あ、そういえばドタバタして聞いてなかったけど君の名前は？」
なんか雰囲気に流されて名前を聞くのを忘れていた。
「むぅ～」
やばい、何か知らないが彼女は不満な様子だ。
「人に名前を聞く時にはまず自分からって習わなかった？」
「あぁ、ゴメン。僕の名前は神里鏡夜、白堂高校の二年生」
彼女に名前を聞く時のマナーを注意されて少し恥ずかしかった。
「ボクはミシャ」
「ミシャさんって言うんだ。その瞳を見て思ってたけどミシャさんって日本人じゃないでしょ？」
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表紙・目次

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