ZERO 深淵が謡うセレナーデ
「まだチャンスはある、もう一度勝負だ黒沢!」僕は元々こういうゲームは得意だったはずなのに今日はどういう訳かまったく勝てないでいる。
「ふん、生意気な!蹴散らしてやる」
黒沢はそう言うとトランプをシャッフルして互いに五枚ずつトランプを配った。
「ちぃ!」
僕の手札は見事にバラバラだった。どうするか、色も数字もマークも全てバラバラ。まったく手が浮かばない。
「どうした鏡夜、その表情からしていいカードが来なかったようだな」
「うるさいぞ黒沢!」
「図星だな(笑)俺はこのままチェンジなしでいいぞ、ハンデだハンデ」
くそ、ハンデだと?なめてやがるな黒沢、絶対に一泡吹かせてやる。だが一体どうしたものか、今の手札は最悪、どうチェンジしたらいいか。
「五枚ともチェンジしなさい鏡夜君」
「え?」
後ろから声をかけて来たのは宝生麗奈さん。これといって話しをしたこともなく同じクラスになっても仲良くしたりはしてなかった。宝生さんは学年の中でもクールで男子に結構人気のある人だ。「聞こえなかった?五枚ともチェンジしなさいって言ったのよ」
「いや、でも、宝生さんどうして?」
今まで顔を少し合わせるぐらいはあったが宝生さんから声をかけられるなんてことはなかった。
「いいから私の言うとおりにしなさい鏡夜君!」
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