ZERO 深淵が謡うセレナーデ
「いい気になるなよ鏡夜まだ4対1だ!」
痺れを切らした黒沢が僕と宝生さんの間に割り込んできた。
「あ、あぁ分かってるよ黒沢」
本当は、少し忘れてた。「それじゃあ鏡夜君頑張ってね」
そう言うと宝生さんは教室の外へ出て行った。
「うん、ありがとう宝生さん」
僕が笑顔でお礼を言うとなぜか宝生さんは顔を背けてしまった。
「別にお礼を言われることじゃないわ」
あれ?気のせいか言葉にトゲがあるような。
「鏡夜、さっさと勝負しようぜ」
「あ、分かってるよ」
もうすでに教室に宝生さんの姿はなかった。




高校の帰り道。
「それにしても今日は変な一日だったな~」
確かに今日は不思議な事が多かった。
あれからの黒沢との勝負は凄いものだった。直感が冴え渡り4回連続ロイヤルストレートフラッシュが揃ってしまい黒沢がショックで保健室へ運ばれてしまった。結局、ポーカーで勝ったものの賭けはうやむやになってもうなにがなんだか。
「そういえば宝生さんあれから見なかったな、ちゃんと話してみたかったな」
今まであまり話しさえしたことなかったけど少し話しをしただけで僕は宝生さんのことが頭から離れなかった。
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