あたしをくれた貴方へ~幼い恋愛~

『さようなら!』


日直の挨拶と同時にみんなランドセルをしょって帰り始める。

あたしはまだ黒いハンカチ見つめたまま。

今日ずっと握っていたんじゃないかってぐらい握ってた。

なんとなく・・手放せなかった。

黒いハンカチから視線をずらして窓から空を見上げた。

見上げた空は曇り空だった。


『・・・。』


曇り空が昨日の男の子の表情と重なった。

なんでだろ。

昨日の男の子の表情・・・・・。

よく思い出せばなんだか瞳がさみしそうだった気もする。

冷たい声に冷たい表情。

けど・・・瞳の奥にさみしさを抱えてるんじゃないかって思う瞳をしていた気がする。


『変だな・・。』


あたしは他人のことなんてどうでもいいと思ってるのに・・。

なのに他人のことをさっきから考えてる。

無色のはずの世界で、感情なんてそんなにないはずの世界で・・あたしは他人のことを考えてる。


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