あたしをくれた貴方へ~幼い恋愛~
『あっ。』
男の子はあたしをみてそう言った。
ハンカチを返したいけど、どう声をかければいいのかわからない。
あたしは男の子から視線をずらした。
あたしが足元をみていると足音が聞こえてきた。
多分・・いや、絶対に男の子の足音。
こっちに向かってきているようだった。
ギシッ
隣でしなるような音が聞こえてそっちをみたら男の子が隣のブランコに座っていた。
隣との間は結構狭くて男の子の顔がまじかにあった。
あたしが男の子からすばやく視線をそらすと男の子がチラチラみてきていた。
・・・顔に何かついてる?
なんでこんなにみてくるの?!
ていうかハンカチ返さなきゃ・・・。
「『あのっ!』」
男の子と声がかぶった・・。
「えと・・・何?」
男の子がひいてくれた。
『あの・・これ。』
あたしはなるべく男の子をみないでハンカチを渡した。
「別によかったのに。ありがと。」
『こちらこそありがとうございました。』
はたから見ればあたしは笑ってしまいそうなほど堅い口調。
男の子はそんなあたしをみて少し笑っているようだった。