愛の欠けた宙
私はソファから離れると、制服に着替えた。

私は今高校生なんだけど、中学の頃と大して変わらないこのセーラー服が私には一番よく似合うと思う。

髪形はいつもポニーテールだ。
そのせいかよく中学生と間違われる。

……だから夜歩いてたらよく補導される。
夜遊ぶ時はケバメイクをしないとなぁ。

私は歯を磨こうと廊下に出た。
ミシッ
と床が音を立てる。

この家は本当にボロいアパートだ。

少し歩くとすぐ床が鳴る。
今にも床が抜けそうだ。
私は慎重に歩くと、洗面所に行った。
そして歯を磨いた後、家を出る。

「あっ真希!思ったより早かったね!」

いつも灯は家の外で私が出てくるのを待っててくれている。

それだけはこの世の何よりも嬉しい。

…私を待っててくれる人がいるって、本当に嬉しい。

「おはよ、灯」
私は灯に笑顔を向けた。
「おっはよ〜!さて、行くか!」
灯はいつも明るい。
いや、明るく見せかけている。

灯だってあまりいい家庭環境で育った訳じゃない。いつも笑っていられるような家庭じゃない。私は友達だから知ってる。
なのに…私の為なのか…。それとも別の理由があるのか…。

いつも明るく接してくれる。

本当に……いいのに。

私にくらい、弱音を吐いていいのに。

私達は仲がいいけど、本音で言い合えてない…。

そう思うと、悲しくなる。

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