電車で遭遇した場合。
えっ…えっ!?
ちょ、ちょっと待て、落ち着くんだ私。
これは夢かも。
そう思って、私は頬をつねる――なんて少女マンガの主人公のような真似は断じてしません。
そんなことしたら、電車の中で恥かくよ。
はい。
というわけで、腕の肉をつねってみた。
……痛いや。
どうやら現実のようだ。
ここで、現状把握に取りかかってみる。
私の名前は 宮代 絢香。
18歳、高校三年生で誕生日は先週誕生日を迎えた5月7日のO型。
今は学校で自習してた帰りの最中。
で、目の前に隣の駅の男子校の生徒・兼 私の理想の人がいる。
電車は割と混んでて近い。
ターゲット、こと私の理想の人は目の前でお友達と仲良くお話中。
…かっこ良すぎ。
だってね、だってね!
180cmある背の高さに、黒髪のサラサラヘア。
顔は締まっていて、余計な肉がなくて。
鼻が高くて、目はぱっちり。
色は日に焼けているようで、どうやら運動部のようだ。
彼の周りには、キラキラしててほんわかしたオーラがまとわれていた。