電車で遭遇した場合。



「駿くん…ですね。

私は、宮代 絢香っていいます。」


「絢香ちゃん…ね。
りょーかいっ」


絢香ちゃん……と呼ぶ駿くんの声が頭の中でこだまする。


駿くんの低音かつ美声で、私の名前は浄化された。

うん、絶対浄化された。


すると、私の家が見えてきた。


「あの…、
た………駿くんの家はどこらへんですか?
私の家はここから5分くらいのところなんですけど…。」


「割と近いね…。」
駿くんは驚いたような声を出した。

そして、何か考えている様子の駿くん。

「…ちょっと、ゆっくり歩いていいかな?」


「はい、大丈夫ですよ!」


駿くんと長くいられるのは最後かもしれないし、すごく嬉しいのだけど…。

一体、どうしたのだろうか。


< 21 / 58 >

この作品をシェア

pagetop