電車で遭遇した場合。
「駿くん…ですね。
私は、宮代 絢香っていいます。」
「絢香ちゃん…ね。
りょーかいっ」
絢香ちゃん……と呼ぶ駿くんの声が頭の中でこだまする。
駿くんの低音かつ美声で、私の名前は浄化された。
うん、絶対浄化された。
すると、私の家が見えてきた。
「あの…、
た………駿くんの家はどこらへんですか?
私の家はここから5分くらいのところなんですけど…。」
「割と近いね…。」
駿くんは驚いたような声を出した。
そして、何か考えている様子の駿くん。
「…ちょっと、ゆっくり歩いていいかな?」
「はい、大丈夫ですよ!」
駿くんと長くいられるのは最後かもしれないし、すごく嬉しいのだけど…。
一体、どうしたのだろうか。