電車で遭遇した場合。



そうだよな。


なら、純粋に。
やっぱり話しかけるしかないよな。



彼女を横目で見ると、さっきの付箋を落とし話しかけられたことで集中力が途切れてしまったのだろうか。

参考書を膝の上に乗せて、ぼんやりと車内の広告を見つめていた。


電車は止まっていた駅から徐々にスピードを上げ、次の駅に向かっている最中だった。



──今なら、邪魔にならないし、いいよな。


電車のスピードとともに俺の鼓動もだんだんと速くなり、不安を感じギュッと目を瞑る。






────今だ。




「…あっあの「席、どうぞ。」」


…は??


俺は勢いよく目をカッと開く。


そこには、、、



席を立って、年を重ねたおばあさんに席を譲る彼女の姿。


ちょうど、今着いた駅から乗り込んできたおばあさんのようだった。


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