再愛 ーサイアイー
そのまま、詳しい話を聞く勇気がなかった。
父は、連絡先を渡してくれた。
そのまま、何も言えずに別れた。
気付いたら、家にたどり着いていた。
どうやって帰ってきたのか、自分でもわからない。
ベッドに座り、悔しさに涙が出た。
何が悔しいのかわかんない。
ただ、悔しくて。悔しさに押しつぶされそうだった。
行き場のない思いが心に込み上げてきた。
「どう、……すればっ、いい!」
一人ぼっちの家で、泣き叫んだ。
家の為に働いてくれている母に、言うことは出来ない。
母は今でも、父が帰ってくると信じているから、尚更。