再愛 ーサイアイー
まだ続くその会話に、イライラした。
「お前、あの先輩の胸見た?」
「何だよ……胸?」
「あれは、意外にあったぜーー
ドガンッ!!!
いい加減にキレそうな俺の耳に届いた、何かを蹴る音。
「………」
音源と思われる場所に立っていたのは、佐川だった。
いつもの雰囲気は微塵も感じられない、その怒りの様子に、
部室内もシーンとなった。
「………失礼しました。」
蹴ったであろう個人ロッカーは凹んでいる。
「俺、外行ってきます。」
ミーティングも終わっているので、わざわざ言う必要は無いが、
佐川は部室を出る時、明らかに美幸のことを話題にしていた2年の2人を睨みつけた。