再愛 ーサイアイー



佐川が出て行った後の部室は、沈黙状態が続いた。





「俺、様子見てくる。」



俺は、そう言うと、静かな部室を抜けた。







「佐川。」



グラウンドの隅でリフティングをしていた佐川に声をかけた。




「--優也先輩。」




振り返り、ボールを抱えた佐川の表情は、変わらず怒りの表情だ。





「先輩、すいません。でも、俺はあの先輩達2人の会話にイライラしたんです。」




素直に言う佐川が、羨ましかった。



俺は、いつだって素直になれないから。





「美幸先輩のことについて、エロいように言われることも、注目されることも嫌だったっす。」



嫉妬した、と関節的に語った佐川。





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