再愛 ーサイアイー
佐川が必死に俺たちを落ち着けようとするも、
俺も橋本もそれぞれの知らない事実に、戸惑っていた。
「先輩方っ!」
もはや、佐川の声など聞こえていなかった時だった。
「何しているの?」
大きな声ではないのに、俺と橋本の耳にはしっかり入ってきた。
「美幸先輩。」
佐川は、緊張の声を出していた。
そりゃそうだ。
ただでさえ修羅場なのに、もっと複雑な展開になる人物が現れたのだから。
「………優也。何で希望を泣かしてるの?」
お互いに、橋本の前では下の名前で呼ばないようにしていた。
だが、美幸は怒りのせいか俺の名を呼ぶ。