再愛 ーサイアイー
「俺のこころの痛み」 side優也
手の軽い痛みと共に、するりと抜けて行く華奢な小さい手。
その手が完全に俺から離れた時、
まるで二度とこの腕に戻って来ないような気がした。
それは、もう一週間も前のこと。
それなのに、その感覚が抜けてくれない。
「優也ーーっ!勉強してるの?」
下から聞こえた母さんの声。
それを合図に寝転がっていたベッドから起きて、机の前に座る。
「どうして、こうなっちまったかなぁ。」
あんな風に、あいつの心の不安定なことを悪化させるつもりなんて無かった。
「最悪。」
勉強どころじゃねぇっつうの。
ガチャ
その音と共に開けられた俺の部屋。