再愛 ーサイアイー



あまりにも意外な言葉に、驚いてしまう。



「今は優也先輩と幸せだと知っているので、気持ちを聞いてもらえるだけでいいんです。
でも、俺は初めて出会ったあの日、好きな人を想って涙を流す先輩に一目惚れしました。」





あの日、屋上で瑠衣を想って泣いた。




その涙を綺麗だと思ってくれたのが、嬉しく感じた。




「ありがとう。」



「はい。」




きっと答えて欲しいわけではないのだろうから、


答えを言う必要はない。





「美幸。」



後ろから聞こえた声に振り向くと、抱きつかれた。




「美幸っ!」



普段では絶対に見せない、希望の涙。




「私ね、この高校で美幸に会えてよかったよ!」




泣きながら、しっかりと私まで泣かせる。




「美幸と一緒の水着で、大会を泳げて良かった。」




私もだよ。






< 383 / 404 >

この作品をシェア

pagetop