恋愛時計〜君と過ごす時を〜
「きゃっ」
向こうから走ってきた女の子とぶつかってしまった。
私はその反動でしりもちをついた。
「イテテ…」
「大丈夫!?ごめんねっ」
私とぶつかった女の子は慌てて私の顔を覗き込む。
か、可愛い!!
小さな顔に、二重の大きな目。
ショートカットの茶髪は彼女によく似合っている。
心配そうに私の顔を見るので、私は慌てて笑顔を見せる。
「大丈夫です。此方こそ、すいません、私の不注意で…」
胸元の名札には“富山未来”と書かれてある。
名札が黄色だから、きっと二年生だ。
「あなた、一年生?」
「は、はいっ」
富山先輩に質問されて、ハッとする。
「何部?」
「いや、まだ……」
富山先輩の口角が、ニヤリと上がる。
……私はすぐに、富山先輩が何かを企んだことを悟った。
自分の部活に私を引きずり込むのだろうか……。
私は嫌な予感しかしなかった。