恋愛時計〜君と過ごす時を〜
私は必死に練習メニューを覚える。
早素振りに片手での素振り、足を前後を動かしながら竹刀を振る、前後素振りに……。
あーー!!!
やっぱり一度には無理だよー!!
いやいや、当たり前の事でしょ。
一度に十の事を憶えるなんて、どこの天才だっての。
――ガララッ
「!!?」
突然、剣道場の扉が乱暴に開けられ、人が入ってくるのがわかった。
その音にハッと我に返る。
「遅れました!」
入って来たのは男子だったらしく、玄関からやや低めの声が聞こえた。
まだ他にも部員が居たんだ…。
しかし、彼はこちらに気づきもせず、そそくさと更衣室に入っていった。
更衣室に入るのが、私が振り返るよりも速かったため、顔を確認出来なかった。
まあ、いいか。
どうせ出てくるんだから。