恋愛時計〜君と過ごす時を〜
「コイツ、幼稚園と小学校が一緒なんだよ。まあ、小3の時に俺、転校しちまったけど。な、澤口」
「あ、うん」
久しぶりに聞いた声は少し低くなっていて、どこか怖い感じもした。
“澤口”……。
小学校の時は“美里”だったのに。
一気に距離が遠くなった気がして、胸がチクンと痛む。
やっぱり小学校の時とは違うのかな……。
そんな事を思うと、頭の中にもやもやがいくつも出来て、押し潰されそうになる。
「……美里ちゃん?」
先生に渡されたメニュー表をボーッと眺めていると、富山先輩に声をかけられた。
「富山先輩。今は……?」
「休憩中だよ」
「えっ…」
慌てて辺りを見回す。
いつの間にか、竹刀を振っていた先輩達は、それぞれに散らばって休憩をしていた。
「どうしたの? ボーッとして。 何かあった?」