Birth Day〜さよなら、悲しいあの日〜
「美雨、……」
龍哉がこっちに歩いてくるのが見える
トイレから逃げた時以来見てない
右手には包帯が巻かれてる
「怪我、大丈夫なの?」
そっと龍哉の右手を両手で包み込む
龍哉に触るのもこれで………
「あ、うんちょっと縫ったくらい
全然平気だ」
「そっかならよかった、」
そっと龍哉の右手を下ろす
その時に龍哉がわたしの右手を掴んだ
「指輪……どーしたわけ?」
ぱっと払いのけた手
そんなことするつもりじゃなかったけど
やってしまった
「もしかして、マフラー取って?」
わたしの首からスルスル取れたマフラーのしたにいつもしてるネックレスがなくなったことに龍哉の表情が暗くなる
「ネックレスと指輪どこ?
あいつらにやられたのか?」
そーだよ
でもわたしはあえて嘘をつく
「違う……捨てたの」
最低だ
自分のことだけ考えてる