黒龍Ⅱ
…
「だって、
僕と友達になったら
お兄さんの友達に
"泥棒"って怒られちゃう。
友達ってね、
とっちゃいけないの。
横取りしちゃ
だめなんだよ」
必死になって
涙が出そうになるのを我慢して、
言葉にしたのに。
「…お前は、
泥棒って言われたこと
あんのか?」
その一言で、
全部、全部崩れる。
真実を突き付けられる。
…いや、違う。違うんだ。
真実を突き付けられたことよりも、
俺は"友達泥棒"ということが
"お父さん"に知られてしまったことが
悲しかった。
"友達泥棒"の俺とは、
きっともう
話をしてくれないと思ったから。