黒龍Ⅱ
…
離れようと思えば、
今すぐにでも離れられる。
だけど、
今あたしの腕を掴んでいるのは
獣牙の幹部だ。
下手に目つけられるより、
ここは怪我の手当てだけ
してもらって帰った方がいいか…。
そんなことを考えていたら、
「優真じゃん!久々だな!」
「元気でしたか?」
目の前には
グレーのオオカミのピアスをつけた
男が30人ほど。
「…って、その女誰っすか?」
ひとりの男が
優真にそう尋ねると、
「あー、俺が助けた子。
怪我してるから
手当てしようと思ってね」
ニコッと笑った優真に、
「さすがっすね」
なんて下っ端の男も笑う。