黒龍Ⅱ

優しさと涙








--玄関はすぐそこなのに
あたしはドアに手を掛けることが
出来ずにいた。





…目、真っ赤だし

竜聖の顔、見れない…






…だけど…





「っ…!!」







ガチャと、

気づかれないように
静かにドアを開けると



そのまま浴室へ急ぐ。









「お母さーん!!

 お風呂先入るねー!!」





そう、叫ぶと




「おかえりー!」




と、お母さんも同じように
大きな声で返してくれる。





そのことにホッとし、
あたしはまたお風呂で涙を流した。





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