黒龍Ⅱ
「…そしたら急に
家の扉が開いてね。
男の人がひとり、
立ってた。
その人に声を掛けた
お兄ちゃんは
気づいたら倒れてて。
あたしは、
それが悲しくて泣いたの」
そこまで話した麗は、
ふーっと
深く息を吸うと
また無表情に戻った。
「…泣き叫んだ
あたしの目の前には、
お父さんが居てね。
あたしは
久々のお父さんが嬉しくて
抱き付こうと足を動かした…。
…だけど、
その瞬間…
耳が痛くなる
大きな音が部屋中に鳴り響いた…」