復讐を考える者と呪われた者と。


輝く満月の上がった夜だった。



時計の針が
0時を過ぎたと同時に、
おれの身体に変化が起きた。



身体の節々に瞬間的に激痛が走り、筋肉の収縮と膨張を感じた。


ほんの二~三十秒で
それは収まると、
今度は肩に流れていた髪の毛が自分では確認出来なくなっていった。

まるで映画のビデオを巻き戻ししているかのように、戻って行くような感じだ。


身体の変化が止まったのを確認して、
すぐに転がっていたベットを
飛び降りて大きな鏡のある備え付けの洗面台へと走った。

鏡を見ておれは驚いた。

鏡には、
髪が短く、ショートヘアのおれが立って居たんだ。

おれはすかさず自分の全身をペタペタと触り確認した。


そして気づいた。


呪いで女の姿だったおれ。



膨らみ始めた胸は、
平になり、
何より股が少しばかり盛り上がっている。

おれはそーっと寝巻きをたくし上げてショーツを捲った。


「うおっしゃーーーいっ!!!!!」


その瞬間、
踊り出したくなるほど(いや、実際踊り出しちゃったんだけど....)おれは喜んだ。


この時のおれには狂喜乱舞という言葉が合っていた気がする。


喜々として怜愛に報告し、
久々の男としての生活を楽しんだ。

でも楽しい時間ってーのは必ず終わりがあるもんだった。


夜になるにつれて身体が重いような怠いような、
気怠さを感じた。

そして24時になった途端、
あの激痛と、収縮するような膨張するような感覚が襲ってきた。


気づいた時には、
女の身体に戻ってしまっていた。



その後も何度も
そんな事が起こり、

満月の夜、0時から24時までの24時間のみだということがわかった。


ちなみに周期がわかったのは
怜愛の観察力のおかげだ。


この事は
おれが元男だと、
呪われし者だと
知っている人たちのみが知る秘密だった。






それが先日、身元不明の謎の人物二人にバレてしまった.....。

いや、まぁ正確には見られたってだけでバレているかなんてわからない




情報屋は学園の人物だし、
謎の覗き野郎(命名してやったぜー)も
学園の制服(ズボンだけだけど)を着てたから、確実に学園の生徒なのは間違いない。


情報屋は、まぁ秘密厳守だろうから大丈夫として(不安は残るけれども)、
謎の覗き野郎はな~.......


マズいことこの上ない。



呪われし者の証を見られた上、顔と、
男になった身体を見られた。



非常にマズい。






「今日一日様子を見てみましょう、鈴原さまから、昨日の学園に変わった様子はなかったと報告がありましたし。」


「うん」


「バレていれば、何らかのアプローチもあるでしょうしね。」

「そうだな」


あの夜の次の日、
おれは学園を休んだ。

男の身体だったてのもあるけど、
見られたこともあって身元不明の二人の動きと噂が回ってないか様子を見るため。


ちなみに報告してくれたのは
よるだ。




それと、
情報屋が言っていた
"四つの宝玉"
のことを怜愛と調べていた。


一日中パソコンや本と睨めっこしていたが、何の手掛かりも掴めなかった。




そもそもな、
四つの宝玉って何なんだ!?


どっかのRPGやゲームぢゃないんだから、そんなもの見つかるかってーんだ!





簡単に言ってくれたよな。
てーか、情報屋の情報なんて本当に信じられるのか......?





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