サヨナラのしずく
あたしは真っ直ぐ見ることが出来なくて目をそらした。




「雫、目ぇ反らすな。ちゃんと見てろ」




俊平の声が聞こえてきた。



でもあたしは見ることが怖くて反らしたままだった。



すると、カズキさんがあたしの横にやって来た。



「雫ちゃん、ちゃんと見てみ」




そう言ってカズキさんがあたしの肩に手を置いただけなのに大袈裟にビクついてしまった。




それを見ていた俊平が「雫に触るんじゃねぇ」って怒鳴るからカズキさんの手はすぐに離された。





「雫、ちゃんと見てろ」



もう一度俊平が言うもんだから、あたしはゆっくりと俊平の方を見た。




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