サヨナラのしずく
クラブを出ると、すっかり太陽が沈みきってしまっていた。




「カズキさんため息ついてたけどいいの?」


「あ?いいんだよ。あいつは昔っから堅苦しいつーか、気にしすぎなんだよ」


「昔からって、いつから友達なの?」


「中学ん時くれぇだ」





素直にいいなと思った。



友達がいる俊平が羨ましいと思った。





「長いんだね」


「だな。もう5、6年の付き合いだな」





今まで一緒にいても俊平のこと聞いたことなかった。



興味がなかったというか、聞こうとか知ろうとか思ったことがなかった。



知らないことが不思議だと思っていなかった。





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