サヨナラのしずく
「マミちゃん、俺たちこれから用事あってね。また今度遊ぼうな」




何も言わない俊平の代わりにカズキさんがそう言った。




「えー、用事ってなに?マミも一緒に行く」




用事があるって言うのはカズキさんの嘘だ。



多分、この人もそれに気づいている。




「ねぇ、シュン。いいでしょ?」




特に用事なんてないあたしたちはゲーセンへ行くか、飲みに行くかだろうけど。



あたしは心の中で断ってほしいと願った。



一緒行きたくない。



お願い…俊平、断って?



「……ああ」




俊平の返事を聞いた瞬間、自分でもわかるくらい顔に素直な気持ちが出てしまった。





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