サヨナラのしずく
あたしの頭に手を回し、ときどき優しく撫でてくる。



見つめあったかと思えば、また唇を重ねる。



触れるだけのキスから息もできないようなキスにかわり、部屋の中にはその音だけが響く。



頭に回されていた手は肩をつかみ、そしてTシャツの中へと入ってくる。



擦るようにあたしの背中を撫でまわすと、ブラのフックを器用に外された。




「だめ」


「ん?」




甘い声って言うのはこういう声のことを言うのだろうか。



いつもの優しい声とは違う俊平の声が耳元で囁かれた。




「やだっ」





背中を触れていたそれは脇腹をたどってきたところで、あたしは阻止した。




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